ヤクイタへの想いmessage
杉にとって屋久島は南限になります。太古から生き続ける何千年の杉も、土埋木と呼ばれる杉も、天然の木はもとより、人の手によって植えられた杉もまた、母樹のもつDNA を継いで生きております。
屋久島には、森林の生態系が何千年経った今でも残されています。自然と人の関わり方を大切にしてきた島です。神秘的な信仰の島から、産業や経済のための近代林業にも深く関わってきた島であり、平成5年(1993)、世界自然遺産に登録され、日本を代表する森林の宝庫として世界的に脚光を浴びることになりました。
にわかに国内産材の活用がさけばれる中、屋久島の森林資源はどのような運命を歩んでいくべきかを考える時が、今、来ているのだと思います。生産のための林業だけではなく、環境保全を両立させた林業の時代であることを、私たちは強く意識しなければなりません。
屋久島の森林資源活用とは、森林生態系の保全と活用の調和に加え、木材としての個性と付加価値の高さを示すものでなければならないと考えております。そのような島民の想いを形にした、「ヤクイタ」が誕生しました。人が、自然と向き合って生きるための大切な技(わざ)がこの「ヤクイタ」に込められました。国内はもとより、世界の国々へお届けできる、誇りある一品です。
一般社団法人 屋久島地域資源活用センター
代表理事 浦田 功
屋久島の森林林業による
まちづくりConcept
豊かな地域資源を活かした産業活動を展開し、自然と共に生きる循環型社会を築きます。
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01
人・自然・島が三位一体となり、
「森と生きる」屋久島を目指しています。 -
02
ヤクイタの売上から
「屋久島森林ファンド」に寄付し、
持続可能な森林をつくります。 -
03
人適切な間伐による生育環境と混交林に
取り組み、屋久島の森林林業を育てます。 -
04
「ヤクイタ」ブランドは、島内で林業から
生産、加工まで一貫した取組です。
ヤクイタプロジェクト 〜屋久島の森と暮らす〜
持続可能な地杉活用のための一連の活動Action
はじまり
1.屋久島が一つの町に
- ・2007年、島の2つの町が合併し一島一町に統合され、新庁舎建設へ
2.地杉活用の機運
- ・「自然と共に生きる屋久島の象徴」として、地杉を活用した木造庁舎とすることを決議
- ・地杉を持続的に活用していくための調査、検討が開始
3.庁舎建設と地杉活用の目標
- ・島の公共施設における地杉、製材所、大工の活用の最大化
- ・地杉のショールームとして、島の統合・交流・協働の象徴となる木造庁舎
- ・蒸暑地における長持ちする木造建築のモデル策定
- ・島内で地杉に付加価値を高め、販売する仕組みづくりの促進(島内で伐採・製材・乾燥・加工から営業・販売まで)
アクション
■庁舎建設のための地杉供給体制検討
- ・地杉の活用方針の検討
- ・必要な製材量、丸太量、伐採量の算出
- ・木材の事前調達スケジュール(二カ年に分けた伐採・粗製材)
- ・製材効率向上のための製材寸法検討
- ・構造材の品質管理方針の検討(構造材は島外製材所で人工乾燥)
LLP加工ヤードの設立
■地杉の特性把握
- ・天然乾燥試験
- ・動的ヤング係数試験
- ・黒芯の防蟻成分試験
- ・その他既往調査まとめ
ヤクイタ(床板製品)
■島の資源を活用する施設設計
- ・エンジニアリングウッドを用いない架構
- ・大径材、長尺材を用いない大架構
- ・大工技術を発揮できる軸組構法、真壁
- ・工区を細分化して島の建設会社で受注
共同宣言と協定締結
■木材加工LLPの設立
- ・島の製材所及び工務店による木材加工LLP「屋久島地杉生産者有限責任事業組合」
■ユーザーとつくる庁舎建設プロセス
- ・町民WS:庁舎における町民活動、イメージ検討
- ・職員WS:執務空間の在り方検討
- ・議員WS:議場の多目的活用方策の検討
■木材加工拠点の整備
- ・木材加工拠点「LLP加工ヤード」 整備(乾燥・加工機器)
- ・地元製材所での庁舎の構造材の荒製材、ストック、天然乾燥(一部)
- ・庁舎の板材(床板、羽目板、外壁板、野地板等)の乾燥・加工
活動の成果
■魅力的な木造庁舎の実現
- ・島民、職員に愛される木造庁舎
- ・庁舎を活かした町民活動(演奏会、産業祭、シンポジウム等)
屋久島町庁舎(執務空間)
■地杉ブランド「ヤクイタ」の展開
- ・「ヤクイタ」のブランド化
- ・2,700坪 / 年の生産体制構築
- ・工務店ネットワークづくり(現在全国31社)
■蒸暑地域の木造建築のモデル
- ・大工WS:島の知恵のまとめ
- ・高温多湿、多雨、強風、白蟻、塩害対策
■屋久島の森と生きる
- ・屋久島町、工務店ネットワークによる協定締結
■「屋久島森林ファンド」設立
- ・販売実績から一定比率を山に還元
- ・林業単体ではなく、官民が協働して島ぐるみで持続可能な山林経営にコミット
これからの取組
■更なるヤクイタの展開へ
- ・全国、海外への展開
- ・ヤクイタを介して屋久島ファンドを増やす
■更なる活動、協働の展開へ!
- ・議場、フォーラム等の更なる活用
- ・コミュニティカフェ
■地杉活用の屋久島住宅モデル
- ・地杉供給のデータ活用
- ・地杉の特性の各種試験データの活用
- ・住宅モデルの検討
- ・住宅用の構造材の島内生産
■島の公共施設の木造化・木質化へ!
■更なる屋久島の山林の展開へ!
- ・安定的な地杉の保全、育成と流通
- ・森林所得の向上と島の活性化